中国における非感染性疾患:急増する潮流

11月23日から24日にかけて開催された第9回ランセット-中国医学科学アカデミー(CAMS)主催の健康会議は、中国の最高レベルの研究を紹介し、国際的な協力の促進と、中国内外の差し迫った健康上の課題を強調しました。これらの課題のうち最たるものは、非感染性疾患(NCDs)の増加です。講演者たちは、中国におけるNCDsに対処するサービス提供に大きな格差があることを示し、警鐘を鳴らしました。中国が直面するNCDsの負担は途方もないものとなっています。Lei Zhang氏(西安交通大学)は、2020年から30年の間に糖尿病の経済的負担が国内総生産(GDP)の成長率を上回るという予測を発表しました。この予測は、6月にランセット誌に発表されたデータと整合しており、1990年の中国の糖尿病患者数は3,500万〜5,000万人、2021年には1億1,800万人に増加し、2050年には2億5,700万人という驚異的な数字になると予測されているのです。

ウィニー・イップ(ハーバード大学)は、高血圧の有病率は2007年の25.7%から2017年には31.5%に増加したにもかかわらず、高血圧患者の34.2%しか治療を受けておらず、血圧が効果的にコントロールされているのは9.2%に過ぎないと指摘しました。Xi Li氏(CAMS)が発表したデータは、中国全土のプライマリ・ケアにおける高血圧の認識、治療、コントロールについて大きな格差があることを明らかにしました。シミャオ・チェン(CAMS)は、中国が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の経済的負担が世界中で最大の国であり、その主因は3憶人とも言われる喫煙者と世界最大のタバコ生産量と消費量にあります。

 さらに、中国では1億8000万人の子どもを含む7億人がタバコの副流煙にさらされています。2019年、中国はCOPDによる死亡者数が世界で最多を記録しました。2030年代には年間200万人、2050年には年間300万人がタバコを原因として死亡すると予測する人もいます。COPDとがんは、おそらくどちらもこの負担に寄与するでしょう。肺がんは中国における死因のトップであり、がん関連死の総数は2005年から2020年の間に21〜26%増加し、200万人を超えることが、斉金磊氏らによって最近のThe Lancet Public Health誌に報告されています。

 中国はこの健康上の問題にどう対処することができるでしょうか?まず、NCDの負担原因の多くを占める喫煙、食事、座りがちなライフスタイルなどの営利的・社会行動的危険因子に対応しなければなりません。中国には、タバコ規制政策に広範な影響力を持つ自主規制的なタバコ専売制が深く根付いています。タバコ、食品、アルコール産業の影響力を抑えるには、工業省や情報技術省など、保健分野以外のセクターの関与が必要です。

第二に、プライマリーヘルスケアの強化とともに、治療中心から予防中心の医療システムへの転換が必要となります。中国では医療資源の配分が非常に偏っており、三次病院に集中しているため、プライマリーケア体制が脆弱なままになっています。大病院には、治療中心の治療から住民を中心とした健康予防・管理へと転換するインセンティブがほとんどなく、NCDs対策の進展が満足のいくものでない根本的な原因の一つとなっています。一次医療機関の財政、業績評価、サービス提供、情報技術における有効な実践を推進するための新たな戦略が必要です。

第三に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の強化が必要となります。イップ氏は、6つの具体的な提案を提示しています。すなわち、住民ベースの統合医療提供システムの確立、より健康的なライフスタイルを支援するためのデジタルツールの活用、リスク要因に対処するための情報キャンペーンの動員、社会的弱者に対する経済的保護の向上、「ヘルス・イン・オール」政策の推進、UHCのためのモニタリング・評価システムの構築です。中国は健康への投資を増やしていますが、シミャオ・チェンは、中国の医療への支出はGDPのわずか6%であり、「はなはだしく不十分」であると断じました。

 中国はここ数十年、健康面で大きな進歩を遂げてきました。しかし、急速な人口の高齢化と気候変動の影響により、NCDsはその成果をますます侵食しつつあります。NCDsは人々の健康、国の経済、医療システムの機能を脅かします。これらの事実は、保健システムを通じた認識と対応だけでなく、おそらくより重要なこととして、健康に対する営利的な決定要因を規制し、疾病予防と健康増進に焦点を当てた政策を提供する広範な改革が求められています。同時に、この会議で発表された研究によって、行動すべき機会と優先すべき介入策が示されているのです。

原文記事:Non-communicable diseases in China: a rising tide - The Lancet

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